EGAKU受講者
インタビュー

九門 崇 さん
グローバルビジネス・コンサルタント会社代表

自分のビジョンを描いてみたい気持ちになりました。

interview

会社を辞め、独立してすぐにトツキトオカに参加したのですが、独立してちょうど1年の日がトツキトオカの最終回でした。1年は思ったよりあっという間でしたね。
最後の作品が、「自然体」というタイトルだったのですが、すごく自然な感覚で絵を描ける様になったと思います。この10ヶ月間は抽象的なテーマで描いていた訳ですが、今後はもっと具体的な、例えば自分のビジョンのようなものも描いてみたいという気持ちが強く出てきました。
また、今振り返ると、東京海上日動システムズ・フューチャーセンターでのEGAKUで、Bobさんと一緒に参加したときは、英語と日本語でのワークが楽しくて、自分の想いの根底にある、情熱と理性が融合していく感覚があって、それが心地よかったですね。

子どもの頃のように素直に描くのが楽しかった。

もともと、アートや創造性には興味がありました。ただ小学生の頃から、自由に描くのは好きだけれど、風景や物をそのまま描くのが苦手ということにコンプレックスを感じていて、その反面「描きたい」という想いも持っていました。初めてEGAKUプログラムに参加した時には、イメージした通りに描けないというフラストレーションが溶けていく感覚がありました。
こすって描いているうちにどんどん楽しくなってきて。こう描かなければいけない、という枠組みがないのが良いのでしょうね。最初に参加したEGAKUプログラムでは、小さい頃好きだった怪獣がいつの間にか出てきて、描きながら怪獣とは関係のない色々な発想が出てきました。それをそのまま指で表現していくという感覚がとても楽しかったです。
子どもの頃のように素直な感覚で描くことができて、これを続けたら良いかもしれないと思ったんです。

少しずつ自分らしい表現が出てくるように。

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何か具体的なものを描こうと思うと苦しくなるんだな、ということに初めに気づいて、何かを描こうとしなくていいんだ、何も気にしなくていいんだ、と思うと楽になりました。
それから何度か描いているうちに、自分が思ったように描けない、というフラストレーションが出てきました。それでも毎回楽しくて続けていました。試行錯誤しながら描く事で自分の感覚が毎回違うのが楽しかったです。
自分ではあまり変化はわからなかったのですが、トツキトオカの後半になって、人から「雰囲気が変わったね」とか、「楽しそうだね」と言われることが多くなりました。自分の価値観をなにかしら表現することが大事なことなんだと気づき始めましたし、人前で話をする時にも、少しずつ自分らしい表現が出てくる様になってきたと思います。

自分の知らなかった自分を見てもらえた。

はじめはロジカルな思考と自分の想いが、なかなか融合しないという感覚はありましたね。それまでは、仕事でも事実に基づくことを書いたり話したりしていたのですが、なんとなくそれだけだと面白くないなということを感じていました。描き出してからは徐々に自分自身のこと、自分が感じていることをロジックとうまく組み合わせることができるようになってきたと思います。人前で話す時に、どこか自信が持てなかった部分も薄れていきました。

最近嬉しいのは、話の中で自分が意図していなかった部分を感じてもらえたり、勇気が持てるフィードバックをもらえたりすることが増えたことです。
自分を出せるようになると相手にも伝わりやすいし、さまざまな良い結果に繋がるんだと思います。
例えば、うさぎの絵を描いた時は、怒りの感情を込めて描いたのですが、いざ鑑賞してみると「かわいい」「面白い」というコメントをもらったりして、それがとても意外で楽しかった。自分のネガティブな感情であっても、受け取る人はネガティブに捉えていないかもしれないということを感じたし、自分の知らなかった自分を見てもらえた気がして嬉しかったですね。
もともと自分の個性としてあったのだけれど、自分が認めてなかったり気づいていなかったりしたものが、絵を描いていくことで表に出てきて、周りにも伝わりやすくなってきたんだと思います。なかなか日常で自分の深い部分を出すのは難しいですが、描くという場でその思いをぶつけているような感じがありました。
EGAKUプログラムはそういう場としてもすごく良かったのかもしれませんね。

日中ワークショップでアートの力を再確認しました。

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もともと自分が中国の経済・ビジネスを仕事で専門にしているというのはあるのですが、もっというと、日本人と中国や海外の人がよりお互いの多様性を認め合えるような社会をつくりたい、という想いがあるんです。EGAKUプログラムも是非グローバルな場で実施してほしいと思っています。
トツキトオカも最終章に入った頃、ハーバード・ビジネススクールの山崎さんとの話が発展して、中国の若者たちと日中関係を考えるワークショップをやろうと言うことになったんです。
対話とアートを組み合わせるという試みは、自分にとって初めてだったので、はじめは不安がありました。特に去年は日中関係でも反日デモや尖閣諸島の問題があり、日本と中国の学生が学校で習ったことではなく、本当に自分の言葉で話してくれるだろうか心配でした。
でも結果的にみな素晴らしい絵を描いていたし、対話の場でも自分の言葉で語っている場面が多く見られたので、今後は日中やアジアの学生が交流していく場でもっとこういう試みができればと思っています。

ひとつニュアンスを間違えるとお互いの感情的な部分に火をつけてしまうということを、中国に住んでいた時やグローバルビジネスの現場で実感しているので、そういう意味でも個人と個人をつないでいくアートの力を改めて感じました。
ワークの最後にコミットメントとしてひとりひとり発言してもらった時も、良いことを言おうというのではなく、全員がきちんと自分の言葉で話していて、とても良かったと思います。 中国の学生達も、すごく刺激を受けていたのが意外でもあり、とても嬉しかったですね。

根底で繋がり、お互いの多様性を認められる社会へ。

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EGAKUプログラムの取り組みで出逢った人たちとは、一緒に描いている中でとても深い所で繋がっている感覚があって、それは大事にしていきたい関係性ですね。そしてグローバル・アジアというフィールドにもこうしたコミュニティーを広げて行きたいと思っています。日本以外の場所でも描くことを通じて広がるコミュニティーができればいいなと思っています。そしてその中で自分にできることがあれば嬉しいですね。本質は同じでも、違う国で、違うプロセスで発展していったら面白いだろうなと思います。
まずは、日本とそれ以外の国が共通に持っている感覚をシェアできるような場が創れたらいいですね。
ビジネスをするにしても、ソーシャルな活動をするにしても、根本的には人間が普遍的に持っているものが根底にあって、その上で何らかの活動をしているだけだと思っています。その根元の部分がしっかりしていないと、自分も認めて、人も認めるといったお互いの多様性を認め合う世界にはなっていかないと思います。一人一人が違っていていい、でもその根底には地球に生きる人間として繋がっている何かがあるということです。
自分がこれから創ろうとしている会社では、そういう社会をつくるために日本とアジアを繋ぐビジネスをサポートし、アジア人という視点を持ったグローバル人材を育成するお手伝いをして行きたいと思っています。

描くことで会社のビジョンも明確になりました。

もうひとつ、独立のタイミングで描けたことは、自然な形で会社のビジョンが明確になり、意欲も湧いてきたということもあって、とても有り難かったと思っています。
独立して会社を設立しようか悩んでいた頃、想いや理念が自分の中から湧き出てくる感じがしなかったんです。そんな状態で企業体をつくることに違和感があって、でもその違和感を認識できることは大切なのではないかと思っていました。 そんな中、絵を描き続けることで、その違和感はだんだんなくなっていきました。それは本当によかったと思います。
今の時点でEGAKUプログラムというものは、人間が本来持っていた感覚だったり、想いだったり、体が忘れてしまっている身体感覚を取り戻すという行為なのかなと感じています。 それがもっと日常の中に入りこんで、誰にとっても普通の行為になれば良いなと思います。