EGAKU受講者
インタビュー

福田 美沙子 さん
コンサルティング会社 コンサルタント

綺麗には描けたけれど、全然納得できませんでした。

新しいクリエィティブなことを何かしたくて、コンサルティング会社に入社しました。でも目の前のことを一生懸命やっているだけで4年が経ち、そういう仕事を全然やれていない自分に気がつきました。ITシステム導入の管理や課題解決など、今はそうした経験はすごく良かったと思えるんですが、その時は焦っていました。

だから、トツキトオカの「創造性の回復」という言葉がすごく刺さりました。以前はもっと自由にいろいろなことを考えていたのに、あるべき論やプロセス定義に則った仕事の中で枠を外した発想とか考え方が全然できなくなってしまっていて、それでトツキトオカを始めたんです。

初めて参加した時は自分に自信がなく、不安いっぱいの中スタジオに来て、描いた作品にも全然納得できませんでした。綺麗には描けたけれど、ふわっとしていて何か強い思いみたいなものが自分で感じられなかったんです。周りにはすごく個性的な絵を描いている方がいたり、みなさん強い思いの感じられる絵を描いていたんですが、それに比べ、私の絵は「きれいだ」とか「この絵を描く人は心が澄んだ人だ」とかみなさん鑑賞して言ってくれるんですけど、それじゃないんだと思いました。

EGAKUは、悩みに答えをもらう魔法のような感じ

トツキトオカを始めてもしばらくは相変わらず自信は持てませんでした。でも自分が今置かれている状況に向き合って、概念的ではなく、そこから日々に活かせることを抽出するみたいな感覚で描いていました。そうやって描くとアートがフィルターになって、自分のドロドロしたものが毎回ポジティブなものになることに気づきました。

9月の描くテーマ、「創 –Creation-」では、悩んでいることに答えをもらう感じで描けました。この時は、新事業のプロジェクトで非常にクリエィティブな人たちと新しいものを創るということをしていたんですけど、自分は全然クリエイトできていないなと感じていたんです。でも絵を描いてみて、子どものように楽しんでやることがクリエーションだという解を図らずも得ることができました。

このころのEGAKUは日々の悩みを絵にぶつけて答えが返ってくるという魔法のような感じでしたね。

アートからもらうメッセージは前向きで、すごく考えさせられます。モヤモヤしながらも「とにかく頑張る!」と片付けがちなんですけど、きちんと考えて整理できるのがとても良いんですよね。

思うがままに自由に描く子どもたち

実は、トツキトオカ5ヶ月目くらいに肝炎で倒れ、入院したんです。それまでは仕事一辺倒で視野が狭くて、仕事以外何もしていなかったんですが、入院した時に家族や会社の人や友人や周りの人にすごく助けてもらって、周りの人をもっと大切にしないといけないし、人としてもっと成長しないといけないと感じました。1ヶ月間の入院で疲れた自分を治し、退院したら絵が強くなっていました。

退院後、描いたのが1年の初めに「今年の私」のテーマで描いた「ひとりだち」という作品でした。それまでは親や周りの人に勧められた方向に進んできたんですけど、もっと自立していかないと、という決意表明の絵でした。

この日は子どもたちも一緒で、これは私にとって大きな体験でした。ある子が綺麗に描いてきたところに強い線をビッと描いていて、「なんで?」って聞かれた時に「なんとなく」って答えていたことにすごく衝撃を受けました。私は、それまで自分のメッセージや状況を絵に落とし込むようにしていたので、「なんとなく」とか絶対にないんですよ。でも子どもが思うがままに自由に描いていたのを目の当たりにして、恥ずかしくなっちゃいました。子どもの絵のダイナミックさに全然及ばない、なんかちっちゃい絵を描いているなと。ある意味考え方が変わった回でしたね。

子どもは、自分の気持ちのおもむくままに描いている。周りからどう思われるかとか、評価されるとか関係なく。自分の描きたいものを描いている素直さというのがいいなあと思いました。人間が本来持っている創造性って、こういうことかと実感しました。

言葉ではない世界を描けるように

描いた絵の中では3月に「変 –Change-」のテーマで描いた「Challenge -やればできる-」という作品が一番好きです。トツキトオカを始めてから今まで振り返ってみて、本当にまだまだなんですけど、いい方に変わってきているという気がしていて。波をかぶると、そのうち向こう側に出るじゃないですか。自分にとってのチェンジは、大波が来る感じなんです。ワクワクするけれど、恐い。でも、この波をかぶって向こう側に出ると、成長している。そして、また次の波が来るんですよね。

仕事でもまだこわいけれど、お客さんに少しずつ信頼してもらえるようになったり、結婚して二人で暮らし始めて不安でもなんとかなった経験から、すごく不安なことでもやればできるかもしれないという感覚を持てるようになって、自由に描けるようになってきたと感じています。

言葉ではない世界を絵で描けるようになったのが大きな変化ですね。テーマに向きあう思考も変わってきて、テーマから感じたことをストレートに自由に表現できるようになりました。それまでは仕事の事ばかり描いていましたが、思考が自由になってきたと感じています。

アートは魔法のツール

この1年、公私共にかなり激動の1年でした。EGAKUでは、その人がどこまで自分に向き合って活かすかが大事だとは言われていたけれど、アートは魔法のツールだと思いました。

アートの持つエネルギー、最初は正直わかっていなかったですね。でも、そのアートのエネルギーに気づかないでEGAKUをやってしまうのはもったいない。今回私は危機感を持って本気でやり続けていたから、深いものを得られたのだと思います。

最初はもやもやして不安でいっぱいだったのが、自由に描けるようになって良い方向に変われた気がしています。でも、またここで次の壁をすごく感じてもいます。根本的にもっと成長していくためには、人間的に足りないことが沢山あると思っていて、ここから1段2段成長していくためのチャレンジをしていかないといけないと思っています。

もう10ヶ月やったらどうなるか、自分ではわかりません。でも、この1年で環境の変化もあったんですが、自分自身でいやだなと思っていたところが変えられたような気がするんです。もう一周やった時に、自分のやりたいことやビジョンやこうなりたいという、そのためにこう変えないといけないというのを明確にできたらいいなと思います。

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