EGAKU受講者
インタビュー

大海 彰子 さん
化学品メーカー勤務

変化と共にあったトツキトオカ

トツキトオカは、最初にお話を聞いた時に面白そうと思ったんです。描くことは久しぶりだったのですが、もともと絵を描くことが嫌いではなかったのもあり、描いてそこから何かを考えていくということが面白そうだと思って始めました。せっかく行くんだったら10回くらい、月に1回だったら続けられるかなと思い2015年7月からスタートしました。

「途中」最初のテーマは『怒 -Anger-』でした。怒りや鬱憤をパワーにして仕事をしていた時期もあったのですが、20代後半くらいにそれをやめたんです。そこからは怒りにフォーカスせず、大変なことも楽しくやろうと思ってやっていたつもりだったので、怒りにフォーカスして描くことって難しいなと思いました。

でも描きながら、自分はまだ混沌とした中にいて怒りを手放せていない感じがしました。フォーカスしないように思っていたのに自分の中にあって、ちゃんと考えたらそこもあるよね、まだまだ人間できてないよねと思い、タイトルを「途中」としました。

トツキトオカ6作品目、2016年の最初の絵は営業への異動がわかってから描いた絵です。

「困惑」それまで人事の仕事を5-6年やって慣れてきた時でもあったので、流れに乗らないとしょうがないよねという想いを描いたことを覚えています。自分がああしたい、こうしたいというよりは、流れる先を見ましょうということを表現しました。

それ以降の絵は自分でも本当に動いている感じがして、営業時代の絵だなと思います。営業はお客様へ新しいものを売ったり、受発注のトラブルや納期の調整をしたり、突発的なもの、クレーム的なものなど、毎日がちょっとしたお祭りなんです。それまでの人事の仕事とは全く違うので、ドタバタしている感じの絵になっているように思います。

そして2017年には広報へ異動し、忙しくて来られない時が続き、一年ほど経ってから再開しました。

トツキトオカ最後の絵は『怖 -Fear-』がテーマでした。
この時は怖れをテーマにしながらも最終的には希望も描くことができたので、精神的にずいぶん落ち着いてきたのだと思います。

 

描くことは脳内デトックス

変化と共にあったトツキトオカは脳の整理にすごく良かったです。
営業はお祭りのような感じでしたが、広報になってからは考える仕事が多くなりました。数学や物理のように正解がないし、根拠となるものもない仕事です。
上からはなぜそれを良しとしたのかを聞かれ、こちらもわからなくなったりして混沌とすることもあります。自分たちですら何が正解かわからない中で、何を選択するか、どうするかを迫られます。上からもう少し違うものをと言われると、今までのものを一度捨てなくてはいけなくなることもあります。

一方、同時並行で色々なことを進めなくてはならなくて、遊園地とお花畑を一緒に作っている感じです。遊園地はまだ建設途中なのに止まっていて、こっちでは新幹線が走り始めて、これはペンディングとなっていたはずなのにある日突然、3ヶ月後には走らせてくださいとなったりします。このわけのわからない世界をどう回していくかを日々上司と一緒に考えるのが仕事なんです。

そんな中で描くことは楽しかったです。時間を決めて絵を描くということも面白かったです。
テーマを与えられると、それに日常を寄せながら他のことも考えるので、右脳と左脳が同時に使われる感じがしました。人間、考えるときに鉛筆を持って、落書きではないけれど書くことで脳が整理されることってあると思うんです。トツキトオカで絵を描くことは、脳内デトックスでした。考えながら、現状と今からやっていくべきことを整理するために一枚絵を描いている感じで、その時間が自分にとってはとても大切でした。

一緒に描いた方で、トツキは終わったけれどたまにモヤモヤしているときに描きに来るという方がいました。世の中の人たちは、脳内整理をする必要があると思います。EGAKUはテーマがあるので描きやすいですし、抽象的に描いて良いのでそれがとても良かったです。

その人にとっては悲劇でも他の人にとっては喜劇

トツキトオカで印象深かったのは、他の人が作品に対して感じた印象と自分が描いたイメージが合致しているものもあれば、全く異なるものがあることでした。その人にとっては悲劇でも、他の人にとっては喜劇だという多様性を感じましたし、結局捉え方なんだなと思いました。自分の脳内整理を他の人に見てもらうことでたいしたことじゃないと思えたり、その逆でたいしたことなんだと思ったりして、客観的なコメントをもらうことが面白いなと思いました。自分の絵にコメントをもらうなんてないので、それがすごく面白かったです。

未だに自分が納得できるものはできていません。

描くことは、最終的に成果物ができることが面白いと思います。でも、10回描いて未だに納得できていないんです。自分が最初に思っていたものと違うものができる。具体的にこういうものが描きたいというのはないのですが、もう少しいいものが描きたかったなという想いがあります。最後まで難しく、自分が納得できるものは一枚もできていません。何を持ってよしとするのかがすごく難しいなと思いました。

自分は広報の仕事をしていますがクリエイターではないと認識しています。また、ずっと同じことをし続けるよりも、どんどん変わる方が飽きなくて良いかなとも思います。自分のアウトプットに対する恐れはたくさんありますが、やってみてダメだったら次を考えてやっていこうと思っています。

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